食事療養のサポートを現場から発信

本当に食べているの?

こんにちは。
FFS事業部の柴田です。

先日、『京滋摂食嚥下を考える会』の講演会に参加してきました。
『口腔ケアと地域連携』というテーマで、
歯科の視点から考えた摂食嚥下についての講演でした。

摂食・嚥下についてはまだまだ勉強中の私ですが、
一つ勉強になった事があります。

『運動障害性咀嚼障害』という障害についてです。

このテーマについて話す前に、
一つの事例が提示されました。

『85歳、要介護5、前頭側頭型認知症、
食事はペースト食で日常はベット上で過ごしておられます。
入院中にペースト食を食べていたから家でもペースト食を食べていますが、
本人はすごく食欲があるのに、ペースト食を食べさせています。
本当は形ある食事を取らせても大丈夫なのではないか?見直してほしい。
という家族からの訴えがありました。
さて、この方の食事はどうすべきでしょうか?』

本人様が食事をしている映像を見ると、
スプーンを口の前にすると大きく口を開き、
パクリとスプーンをくわえ、パクパクと口を動かしています。

やっぱり、食欲はあるのかな?
そう感じさせる様子ですが
なかなかゴクリと呑み込む事ができておらず
いつまでたっても口をパクパクと動かしているばかりでした。

これが『運動障害性咀嚼障害』の症状なのです。

これは、咀嚼に関与する神経や筋肉に障害などによって起こる咀嚼障害であり、
加齢、脳血管障害、神経変性疾患、認知症等が原因で生じるそうです。

私たちは、目で食事を見た時、
脳で『どうやって噛もうか』と考えているのですが(準備期)、
この障害があると、口の前に何かがあると、たとえそれが食べ物でなくても
口を大きく開くという反射を示すのです。
この様子を見ると、あたかも食欲があるように見えるのですが
これが盲点です。
呑み込みにくい物を食べてしまった場合、誤嚥する可能性が非常に高くなるのです。


ふと、以前デイサービスを見学に行った時にいらっしゃった一人の利用者様の事を思い出しました。
その方も、とてもよく口を動かしており、よく食べているようにみえていたのですが
1時間たっても食事は全然減っておらず、半分程度しか食べられていませんでした。

その時私は、この運動障害性咀嚼障害の事を知らなかったので
どうしてだろうと疑問に感じていましたが、もしかしたらこの障害があったのかもしれません。
その時私に知識があったら、デイサービスのスタッフに様子を伺う事ができたかもしれませんが、知らなかった事を今更ながら少し悔しく思いました。

摂食・嚥下に障害がある場合、原因・現状を正しく把握するためにも
管理栄養士からの視点だけでなく、医師、歯科、歯科衛生士、看護師、ケアマネージャーなど多職種が集まり広い視点でアセスメントをすることが大切だと
改めて感じた講演会でした。

はーと&はあと 管理栄養士 
柴田 満里子

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