糖尿病・肥満症の食事療養のポイント

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糖尿病とは?
糖尿病とは、体内でのインスリンというホルモンの出方が悪かったり、その働きが不十分であったりするために、血糖値(血液中のブドウ糖の値)が持続的に高くなるために起こる病気です。1型糖尿病と2型糖尿病があります。1型はウイルス感染や自己免疫の異常などによりインスリンを分泌している膵臓が障害を受けて、インスリン分泌量が低下します。若年者に多く、インスリン注射が欠かせません。2型は遺伝的な素質に環境因子(食べ過ぎ、運動不足、肥満、ストレス)が関係して起こります。日本の全糖尿病の95%以上をしめます。
肥満症とは?
肥満症とは過剰の中性脂肪が体内に貯蔵されている状態です。 内臓肥満型と皮下脂肪型肥満があります。

糖尿病に関する検査値

血糖値 グリコアルプミン(GA) 尿糖
基準値:70〜110mg/dl(空腹時) 基準値:12.4〜16.3% 基準値:‐
グリコヘモグロビン(HbA1c) 1.5-アンヒドログルシトール(1.5-AG)
基準値:4.3〜5.8% 基準値:14〜40µg/ml
血糖検査(静脈血漿値mg/dl)
  正常値 糖尿病型
空腹時血糖値 110未満 126以上
75gOGTT ※2時間値 140未満 200以上
随時血糖値   200以上

ブドウ糖負荷試験のこと。糖尿病が疑われる人に75gのブドウ糖を飲んでもらい、その後の血糖の変動から糖尿病かどうか確定診断するための試験。

血糖コントロールの評価とその範囲
指標 不可
HbA1c(%) 5.8未満 5.8〜6.5未満 不十分 不良 8.0以上
6.5〜
7.0未満
7.0〜
8.0未満
6.5〜8.0未満
空腹時血糖値
(mg/dl)
80〜110未満 110〜130未満 130〜160未満 160以上
食後2時間血糖値
(mg/dl)
80〜140未満 140〜180未満 180〜220未満 220以上

(日本糖尿病学会編:科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン15頁、南江堂2004より)

HbA1cとはブドウ糖と結びついたヘモグロビン(血色素)で、現時点より過去1〜1.5ヶ月間の平均血糖値を反映します。

肥満に関する判断基準

肥満度の判定方法の一つにBMI(body mass index)があります。
体格指数とも言われ下記の式で求められます。BMI指数の標準値は22.0です。
これは統計的に見ていちばん病気にかかりにくい体型で、標準から離れるほど有病率は高くなります。

BMI=体重(kg)÷身長(m)2
標準体重=身長(m)2×22

肥満の判定基準
BMI(kg/m2 判定基準
18.5未満 低体重
18.5以上〜25未満 普通体重
25以上〜30未満 肥満1度
30以上〜35未満 肥満2度
35以上〜40未満 肥満3度
40以上 肥満4度

(日本肥満学会判定基準)

食事療養の基本

糖尿病
適正なエネルギー量と栄養バランスのとれた食事を規則正しく摂取することで、血糖値を良好にコントロール。合併症の発症を防ぎます。
肥満症
適正なエネルギー量と栄養バランスのとれた食事を規則正しく摂取することにより適正な体重管理を行っていきます。
  1. 適正なエネルギー量を摂取する。
    • お菓子やお酒を控える(果物の量にも注意する)。
    • 毎食の主食量を一定にする。
    • 調理方法を工夫する(焼く、蒸す)。
    • 脂肪の少ない食品を選ぶ(肉の赤身、白身魚など)。
    • 味付けはうす味を心がける。
  2. 栄養のバランスのとれた食事を規則正しく摂取する。
    • 1日3回均等にとる。
    • 毎食、主食(ご飯・パン類)、主菜(タンパク原)、副菜(野菜・海藻類・きのこ類)をそろえる。
    • よくかんで時間をかけて食事をする(野菜→おかず→ごはんの順番で食べることがポイント)。
  3. ビタミン・ミネラルを十分にとる。
    • 緑黄色野菜や海藻を十分とる。
  4. 食物繊維を多くとる。
    • 野菜を1日350gとる。そのうち1/2は緑黄色野菜をとる(1食あたり生なら両手一杯、お浸しなど火を通した場合は片手一杯を目安に)。
    • 海藻、きのこ類、こんにゃくをとる。

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糖尿病療養指導士

糖尿病療養指導士とは?

糖尿病患者の療養指導に従事するコメディカルスタッフ(看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、准看護師、理学療養士、栄養士ら)に与えられる資格で、糖尿病患者への生活指導の専門家です。
日本の糖尿病が急増していることと、糖尿病の急増に伴い専門医だけでは対応できない療養指導を専門職種の参加によって向上させることを目的としています。
(日本では2001年から認定試験が開始され、今年で10回目になる比較的新しい資格です。認定試験を受験するためには、2年以上継続して、通算1000時間以上糖尿病患者の療養指導を行わなければなりません。)

引用・参考文献一覧
山本みどりほか:臨床栄養ディクショナリー,メディカ出版,2002
玉川和子ほか:臨床栄養学実習書,医歯薬出版,2000
中村丁次:栄養食事療法必携,医歯薬出版,2000
足立香代子:検査値に基づいた栄養アセスメントとケアプランの実際,チーム医療,2006
科学技術庁資源調査会編:五訂日本食品標準成分表,2000

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